シオン国の編制と行政

シオン団は1921年国際連盟の公認によって、いよいよ公式に設立され、ロンドンに本部を置き、かの毒ガスを発明した化学者として、有名なワイヅマン博士を総裁とし、ソコロフ氏を行政部長に任じた。その後本部はロンドン及びエルサレムに分置されることになった。ワイヅマン博士は先年までその任にあったが、目下はソコロフ氏が総裁に就任している。

シオン団は全世界57ヶ国に設立せられた76個の法人を有し、内47個はある一国内に多数の分体を有する連合体のものであって、24個はインド、豪州、支那および日本のごとき諸国に分離存在し、一個は国際婦人シオン団である。なお残りの4個はシオン主義の一設計内にあって、特殊の主張の上に立てられてある別働団、すなわち正統組、労働党、社会党および古代マカベス社である。

またほかに行政部は政治事務のため、ジュネーブ、パリおよびローマに特定局を持っている。

議会はシオン運動の最高権威であって、前議会後における重要事項を論議し、将来の政策および運動に対する決議をなし、在パレスティナ行政部および植民事業の支出を定め、また行政部および財政経済会議総委員を選定する。

行政部は約十名の部員より成り、その半数はロンドンに、他の半数はエルサレムにある規定である。

ロンドンの行政部は、シオン団全部の内政を管掌し、パレスティナ行政部は、パレスティナにおける各種の経済および文化的建設、その他を管理する。しかしユダヤ国家の隆昌に関する一切の事項に関し、委任統治者に対し、相当の代表をなす場合には、両者は共同してそれに当たるのである。

通信連絡は、パレスティナ行政部においてロンドンの総本部を通じ、全世界の法人と通信連絡を保持する。その公定機関紙は、ニウジウデヤ、ハオラムおよびその他の刊行物をもって行っている。各国に散在するシオン団は各々その機関紙を有し、一般シオン主義の発行物は英語、仏語、ドイツ語、露語、ヘブライ語およびイディッシュ語等17カ国語にわたり、その数全世界において約千三百の多数に達している。そしてこれらの刊行物は各国シオニスト間相互に交換され、全世界シオニスト間に織るがごとく、緊密なる連絡が保持されている。

右のほか全世界シオン団相互の連絡を緊密にするため、行政部員は交互に、絶えず世界各方面を巡回している。

ちなみに、シオンとはエルサレム市の西南角にある小山の名である。ユダヤ人は昔からこれを一の聖霊の山とあがめ、自らシオンの民と言い、これから引いてユダヤ国の昔に帰りたいという思想をシオニズムと言い、その団体の人々をシオニストと言うている。現在エルサレム市の城壁が、この小山に触れるあたりに、ちょうど和田倉門のようなシオン門がある。

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