そもそもユダヤ人は決して無政府主義者(アナーキスト)ではない、また決して破壊主義者でもない。しかしながらユダヤ人は世界的過激派(ボルシェヴィキー)であって、ドイツにおいても卓越せる革命家である。ユダヤ人のアナーキストは決して純真のものではなく、彼らにとっては、ある一定の目的を貫徹するための、一手段に過ぎない。
また富裕ユダヤ人は、決してアナーキストたることはない。何となれば彼らは、金力というすこぶる巧妙な手段によって、目的を達成し得るからである。けれども貧乏なユダヤ人に至っては、何らの資材をも持っていないのであるから、無政府主義(アナーキズム)を方便として使用するのだ。
ここにおいて吾人は、左右両極端のユダヤ人同志の間に、抗争が起こりはすまいかと思うが、決してそうではない。富裕ユダヤ人と貧困ユダヤ人は、長く相共同提携して進み、共に同民族であるという感情の絆は、決して両者の間を引きさくことはない。なぜかなれば、もし無政府主義が成功すれば貧困ユダヤ人は富裕ユダヤ人と相並んで地位を得べく、またもし無政府主義が失敗すれば、貧困ユダヤ人は現状を維持するだけであるが、その代わり富裕ユダヤ人には少なくとも、活動し得る新舞台が、展開さるる見込みがあるからだ。
ドイツの貧困ユダヤ人達は、ドイツ人という柵でとりまかれ、その柵内に閉じ込められておったから、柵外に出るためには、これを破壊するほかは致し方がなかった。ロシアにおいても同様である。社会秩序が現存する限り、ユダヤ人はある位置内に閉じ込められておって、自由の境遇にはなれなかった。これは従来の経験上、こうして置くのがその国のために無難で、ユダヤ人から禍害を受けることが一番軽くて済んだからであった。それはちょうど胎内に、外界から一異物が侵入して来たとき、人体の作用は自然にこの異物を包囲してしまうと同じ様な関係に、ユダヤ人と諸国民との関係がなっておったのである。
しかるに近世に至ってユダヤ人は、この国民の柵を破壊し、国民という一つの大なる建物を瓦解させ、かくて発生した暗黒と混乱に乗じて、従来熱望し来たった地位を、獲得するの手段方法を案出するに至ったのである。
ロシアが崩壊した時、その時まず現れた人物は何人であろうか、ユダヤ人ケーレンスキーである。けれどもユダヤ人ケーレンスキーの諸計画は、過激政府ではなかった。したがって彼は失脚し、次いでトロッキーが権力を握った。彼もやはりユダヤ人である。トロッキーはアメリカの社会組織がすこぶる堅固で、到底破壊し得ないものであると認めたから、まず最も薄弱なるロシアを突破して、これを自家薬籠中のものと為し、これより漸次全世界を、席捲しようという意志をもっていたのである。
ロシアの各委員は、ほとんど皆ユダヤ人である。ロシアの革命態当時の状態を叙述した人々は、ロシアは混乱状態にあったと述べているのが通常である。しかしロシアのユダヤ人政府に対する評としては、決して当たっていない。ロシアユダヤ人は、そのユダヤ政府を根拠として少しも乱れず、正々堂々の陣容を整えて進み、その様は宛然予定の方針に基づき、人為的に造った擾乱に乗じて、ちゃくちゃく転覆作業を進捗せしめたと見るべきである。
ドイツにおいても、全然ロシアとその軌を一にした。貧困ユダヤ人達は、自己の野心を満たさんがためドイツ人の鉄柵を破壊しようと努力したのである。一度破壊口が造らるるや、彼らは破竹の勢いをもってこれに突入し、かくて国民を支配する主要なる位置は、ことごとく彼らの占有するところとなったのである。
このことは、ユダヤ人が何故に、破壊運動にその力を注ぐのであるか、ということを説明するものである。合衆国においては青年ユダヤ人等が、一つの思想宣伝に努力していることは、周知の事実であるが、この思想の具体化は、即ち合衆国の滅亡を意味するものである。彼らの攻撃の目標は、もちろん「資本主義」なる語で表されているが、しかしこの資本主義はユダヤ人以外のものを意味し、その真の目的とする所は、現今の「非ユダヤ人」による世界支配の転覆にあるのである。
そもそも実際の資本主義者、すなわち資本を擁している資本家というのは、ユダヤ人である。故にユダヤ人が資本主義の殲滅を欲するとは、どうしても首肯しえぬところであって、実に彼らは資本の独裁的支配を為さんことを欲し、既に遠き昔より、その希望に向かい、着々として功を奏しつつあるのである。